歯科のお仕事完全マニュアル 第3章 患者さんの情報 STEP6 歯周病と歯周組織検査

それぞれの歯の歯周病の状態を記録することを、歯周組織検査といいます。歯周組織検査について理解するには、まず歯周病について理解する必要があります。

今回は、歯周病と歯周組織検査の内容について詳しく紹介します♪

STEP6 歯周病と歯周組織検査

1.歯周病とは?

歯周病は、歯の表面につくプラーク(細菌のかたまり)によって引き起こされます。

キッチンのシンクをしばらく放置すると、排水溝にぬめりができることがありますよね。あれは、細菌がのりを出してこびりついたものです。

健全な口腔(左)と歯周病にかかっている口腔(右)
健全な口腔(左)と歯周病にかかっている口腔(右)

口腔内でも同じように、正しいブラッシングが行われないとプラークが付着して、ぬめりができ、さらには歯石(しせき)という硬いかたまりになります。

プラークや歯石が付着すると歯肉が腫れ、ブラッシング時などに出血します。この状態を歯肉炎(しにくえん)といいます。歯肉炎の状態では、炎症の原因であるプラークや歯石を取り除けば、健康な状態に戻すことができます。

しかし、プラークや歯石が付着した状態が長く続くと、歯槽骨(歯を支える骨)にまで炎症が進み、少しずつ歯周組織が破壊されていきます。それにともない、「歯周ポケット」といわれる歯と歯肉の境い目の溝も深くなっていきます。 その後、次第に歯がゆれるようになり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。

このように、歯槽骨にまで炎症が進んでしまった歯周病のことを歯周炎(ししゅうえん)といいます。

「歯周病」とは、これらの歯肉炎と歯周炎を総称したものです。

歯周病とは?

2.歯周病の特徴と治療方法

歯周病の特徴

歯周病の特徴としては、つぎのようなことが挙げられます。

  • 生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)であり、ブラッシングをしない人や下手な人ほどかかりやすい
  • 歯周病にかかっても痛みを感じないことがあり、気づかないうちに病気が進行していることがある
  • 一度かかってしまうと、破壊された歯槽骨を回復させることがむずかしい

したがって、歯周病は予防することが大切です。

治療方法

歯周病を治療するためには、患者さんに対してつぎのことを行う必要があります。

  • なぜ歯周病になるかについて説明し、理解してもらうこと
  • 正しいブラッシング方法や習慣を身につけてもらうこと
  • 定期的に歯科医院に通うようにうながし、数ヶ月から半年に一度は、歯科医院にて歯周組織検査や歯石の除去などを行うこと

3.アシスタントとの関わり

歯周組織検査

歯周病がどれくらい進んでいるかを調べる検査。術者から口頭で告げられる検査結果を専用の紙に記入します。

歯周組織検査の記入例
歯周組織検査の記入例

歯周ポケットの深さが1〜3mmであれば健康、4mm以上ある場合は歯肉炎あるいは歯周炎と考えればいいでしょう。

また、歯周病のことをペリオといい、それを略して P(ピー)といいます。そのため、歯周病の検査のことを、P検査またはP検とよぶ歯科医院もあります。

歯周病のデータの種類

歯周組織検査では、基本的に以下の3つのデータをとります。

歯周病のデータの種類

歯肉溝や歯周ポケットの深さを測った値を「PD(プロービングデプス)」とよびます。

② 歯肉溝や歯周ポケットをさわったとき、歯肉から出血があるかどうか

検査中に歯肉からの出血がみられることを、「BOP(ビーオーピー)」といいます。BOPがある歯では、今まさに炎症が起きていることが考えられます。

③ 歯がどの程度揺れるか

歯がどの程度揺れるかを、「動揺度(どうようど)」といいます。動揺度は、0〜3で表され、動揺度0は健康、動揺度3は重度の歯周病であると診断することができます。

準備するもの

① プローブ

歯周ポケットの深さを測る器具。プローブ、あるいはプローベポケット探針(たんしん)などといいます。

プローブ

② ピンセット

歯の動揺度を測る器具。

ピンセット

③ 歯周組織検査用紙

検査結果を記入する専用の用紙。歯科医院によって検査用紙は異なりますが、内容はほとんど一緒と思っていいでしょう。

a. 基本検査用紙

簡単な歯周病のデータをとるために使用します。1歯につき決められた1箇所や、もっとも深い箇所の数値を一点ずつ記録するため、「一点法(いってんほう)」とよばれます。

歯周組織検査用紙 基本検査用紙

b. 精密検査用紙

本格的に歯周病の治療を行っていく準備として、より細かいデータをとるために使用します。精密検査では1歯につき4〜6箇所の数値を記録するため、「四点法(よんてんほう)」や「六点法(ろくてんほう)」とよばれます。

歯周組織検査用紙 精密検査用紙
上記のデータは、一人の患者さんの検査結果を同じ日に記録したものです。基本検査と比べて精密検査では、より細かく、歯のどの部分が、どのくらい歯周病にかかっているかまで把握することができます。

次回は「X線写真(デンタル)」について解説します。

第3章 患者さんの情報

STEP1 診療とカルテ
STEP2 紹介と対診
STEP3 治療に必要な情報
STEP4 口腔内写真5枚法の撮影
STEP5 う蝕と歯式
STEP6 歯周病と歯周組織検査
STEP7 X線写真(デンタルの撮影)
STEP8 X線写真(パノラマとCT)と口腔内模型